やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「その優しい小夜姉さんが、アッシが当たった無料券を取ったんですけどね。アッシが当たった高級フレンチの無料お食事券を!」
ポチが、すわった目で私を見る。
「あっ・・・・」
龍一さんのことで頭が一杯でポチのことまで気が回らなかった私。
ポチに突っ込まれてグーの音も出ない。
「まぁ~まぁ~、ポチもそんなに怒るなよ。小夜も、悪気があったわけじゃないんだから。」
珍しく真木ヒナタが、仲裁に入った。
「そうは言ってもですね。こっちは、高級フレンチの無料券を取られたんですよ?」
真木ヒナタに必死に訴えるポチ。
「だから、小夜には、悪気がなかったんだから許してやれって。」
真木ヒナタは、少し苦笑いを浮かべてポチに言い聞かせる。
「まぁ・・・アッシも大人ですから、こんなことぐらいでグチグチ言いたくないですけど、さすがに、人間としてどうかと思いますけど?」
嫌味たらしい目で私を見るポチ。
いつもなら言い返すところだけど、さすがに言い返せない私。
「ポチ、そんなに小夜を責めるなよ。俺がいい物持って来てやるからさ。」
そう言うと真木ヒナタは、屋敷の中へと入っていった。