やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「ああ、そうだよ。龍一にも見せてやりたかったなぁ~。俺の大活躍。・・・ただ・・・・」



話の最後で急に悲しそうな表情になる真木ヒナタ。



「ただ・・・・どうしたのですか?」



執事が、真木ヒナタに聞いた。



「池の鯉だけは助けられなかったよ・・・・あと、庭にいたカタツムリも・・・・みんな火に巻かれて死んじゃったよ・・・」



真木ヒナタの右目からは、一滴、涙が零れ落ちた。



「ヒナタさん・・・・池の鯉と庭のカタツムリは、仕方ありません。・・・それが、彼らの寿命だったのでしょう・・・・。」



執事は、悲しそうに俯いている真木ヒナタを慰めた。



「・・・・そっか・・・・そうだよな。それが、アイツらの寿命だったんだよな。・・・俺、アイツらのためにも、これから精一杯頑張るよ!」



顔を上げ、笑顔に変わる真木ヒナタ。



「そうですよ。それでこそ、彼らも報われるというものです。」



執事も真木ヒナタが笑顔になって安心したような表情に変わる。



「それじゃ、そろそろ、正座もやめていいかな?」



真木ヒナタが、笑顔のまま、執事に聞いた。



「そうですね。あっそうだ。最後にひとついいですか?」



執事も、笑顔のまま、真木ヒナタを見た。



「なんでも聞いてくれ。」



自信満々の真木ヒナタ。

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