やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「消防の関係者に聞いたところによると、火事の原因は、このロケット花火らしいのですが、心当たりはありますか?」
執事の手には、真っ黒に焼けたロケット花火の残骸が握られていた。
表情が一気に凍りつく真木ヒナタ。
その真木ヒナタに代わり、組長が言った。
「し、知らないな、そんな物。」
真木ヒナタと違い嘘が下手な組長。
噛みまくりながら否定する。
「そうですか。・・・では、組長のポケットに入っている物は何ですか?」
執事に言われ、組長が、自分のズボンのポケットを見ると、組長が入れた覚えのない棒のような物が出ていた。
「・・・・・何、これ?」
組長は、首を傾げながら、ポケットから取り出す。
「大和、私の記憶が確かなら、それは、ロケット花火だと思うのですが?」
執事が、相変わらず、優しく組長に尋ねた。