やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】

第2節:打ち合わせ



サブのアパートを出て、屋敷の前を通りかかった時、中から執事が出てきた。



執事の右手には、まるで猫を掴むように、真木ヒナタが掴まれている。



「・・・・お疲れ様です、龍一さん・・・・」



状況がわからないだけに、とりあえず、執事に挨拶をする私。



「はい、小夜さん。お元気そうでなによりです。」



執事は、いつもと変わらない笑顔で私を見る。



「離せよ!!龍一!!!」



執事の右手をどうにか振りほどこうとして、真木ヒナタが暴れていた。



「・・・・どうしたんですか、それ?」



私は、真木ヒナタを指差しながら、執事に聞く。



「はい。どうやら、野良猫が家に迷い込んできていたようですので、捕まえてきたところです。」



執事は、そう言って、真木ヒナタを道路に投げ捨てた。



「くそ~!人がせっかく気持ちよく寝てたところを邪魔しやがって!」



執事を睨みつける真木ヒナタ。



そんな真木ヒナタを一切、相手にせずに執事は、「それでは、仕事がありますので。」と、素っ気無く言うと、屋敷の中へと戻っていった。



「・・・・真木さん、何やってるんですか?」



私は、呆れた表情で真木ヒナタを見た。

< 93 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop