わたしの名前は…




何度も何度も
ユウキは私を抱いた…

私の涙が出なくなるまで…

見えない何かと戦っているように、
でも、

どこまでもやさしく…




夜がうっすら明け始めた…



「しかし、サキの部屋物だらけだな…
しかもほとんどそのまんま…」


「いらないの、本当は…」


「ははっ!何それ…
買い物依存症?」



タバコをふかしながら
普通に言うユウキ…

たぶん、
私がうんと言っても、
ユウキは驚きも
引きもしないんだろう…



「違う…
お金使いたいことないの。
バイトしても、
そのお金、使う理由、
なくなっちゃったから…」




「つらいな…
男がもっとしっかりしてたら…
まぁ、流れたのは
誰にも、俺でも止められないか…」



ユウキは絶対にコウキを悪くは言わなかった。


人がどうでも、
俺はこうするみたいな、
悪く言う必要なんかない、
自分はどうすべきか、
そんな考え方をする人だった。



どこまでもきれいな人だった。






いつのまにか、

もう少しだけ…が、
朝を迎え、
いつのまにか2人は眠っていた―――






「ん………」

目覚めたら、
ユウキのタバコの香の手が私の頬にのっていた。

私の涙を拭いていてくれたのか…





バイトに行かなくちゃいけない時間


私はユウキを起こさないように準備して


“バイトに行きます。
 鍵はポストに入れてね!
 玄関開けられないから…

 好きだよ、ユウキっ!!!”




と、置き手紙を置いて
静かにユウキにキスをして部屋を出た…

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