わたしの名前は…
「くくくくくっ…ナニあれ。
塩まみれなんだけど!」
「くそ鬼ばばぁ!!!」
「あんたもさっき角見えてたよ?」
「え?うそ?
私はやさしーく、コウキちゃんに
覚悟しておいてね?って…?」
「はぁ?
めっちゃ、金棒見えたけど???」
あはははははっ!―――
母と私は塩まみれで
コウキの家の前で笑った―――
「さぁ、サキ、
これからはカナムのためにだけ頑張るよ!
あんたにはカナムがいるんだから!」
「解ってる。
今までもサキにはカナムしかいなかったけどね…」
もう、いい。
ちゃんと、見た、聞いた、
悔いはない―――
実家に戻ると、
父がカナムと楽しそうにジャレていた。
が、私の顔を見るなり不機嫌になり、怒りをあらわにした…
父がどんな思いか、
何となく伝わって、
私は父に
「父さん、ごめん。
でも、もう、すっきりしたから…」
と、伝えた。
すると父は、
私に背を向けたまま
「そうか…
がんばったな…」
とだけ言った…
どう聞いても、尋常じゃない家族の中に
わざわざ打ちのめされに行く娘…
行っても無駄だ、
お前が傷付くだけだ、
なんでそんなにすすんで傷付きに行く?!
父には私の行動が理解しがたかった…
それは、
娘が傷付くことを避けさせたい、
本当の親心、愛だった…
「嫌な思いさせて、
バカな娘で、ごめんね…」
父はもう何も言わなかった…
でも、その背中は
私にもう傷付くなよ…
と、語っていた…