そばにいて
「紹介…ですか?」

と、一応近くまで行ってみる。

まあ紹介されても仲良くする気なんて全然ないけど。


「この子はお父さんの友達の息子さんだ。親御さんが遠くにいく間うちで預かることになった。」

「どうも、はじめまして。宮内 純平(みやうちじゅんぺい)です。」

ふーん。

宮内 純平ねー。

まぁかっこいいんじゃない?

私は興味ないけど。


「はじめまして。娘の柚愛です。」


なーんて可愛らしく言っておけば問題ないっしょ。


「柚愛。純平くんはね高校一年生だからなんでも聞くといいよ。」

「はい。わかりました。」


「純平くんも柚愛に色々と教えてやってくれ。柚愛は中学一年生なんだ。」

「はい。わかりました。中学一年生ですか。とても可愛らしい方で。」

「あはは、そうなんだよ。自慢の娘なんだよ。」

なにが可愛らしいよ。

なにが自慢よ。

そんなこと言われたってちっとも嬉しくない。

私は感情なんてないんだから。

悲しいなんて嬉しいなんてちっとも感じないんだから。

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