初恋
「――メールすりゃいいじゃん」


「あ、やっぱり...?」


お昼休み。

ひとつの机を3人で囲って、新商品のお菓子の試食会。


「そんな好きなら、フツーにメールすればいいだけやん。ねぇ、雄太」


「うん、亜樹ちゃんの言うとおり、無駄なかけひきなんかやめたら?」


「雄太くんまで...そんな」


クラスにも慣れて、けっこうみんなとも仲良くなったけど――入学式の帰りに意気投合したあたしたち3人は、特に仲良くつるんでいた。


「なんなら電話しろ!電話!」


「アキちゃん、おっさんみたいだよ〜」



先生は――

やっぱり、今のあたしたちみたいな高校生活を過ごしてたのかなぁ。

ちょうど今の雄太くんみたいに、女の子たちとも仲良くわいわいやって――



ふと気を抜くと、考えてるのは先生のことばかり。



「放課後にでも、メールしてみたら?」


向かいに座る雄太くんがにっこり微笑んだので――あたしは、おもわずうん、とうなずいた。


今日帰ったら、自分の気持ちに素直になろう――。



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