僕の街には今日も雨（涙）が降る…。

「…ん…」

　飛夏羽は直ぐに目を覚ました。

「飛夏羽？大丈夫？」

　優都の問いに、飛夏羽はゆっくりと頷いた。

　そして起き上がるとベッドから下り、ドアの前まで歩いていった。

「…何処行くの？」
「帰るんだよ？ありがとう。もう…大丈夫だから。」
「………」

　優都は無言で飛夏羽に近づくと、後ろから飛夏羽を抱き締めた。

「無理すんなよ…今日は泊まっていけって。」
「無理…してないもん…それに…これ以上迷惑掛けたくないっ。」
「迷惑なんて思ってないってばぁ！飛夏羽迷惑って言葉使いすぎ！」
「…ごめん…」

　優都は飛夏羽を軽く睨み、それに対して飛夏羽はシュンとしてしまった。

「ご、ごめん…」

　優都が謝ると、飛夏羽は顔を上げて喜んで優都を見た。

「…本当に…良いの？」
「良いって。」
「じゃあ…お願いします。」
「はい。…じゃあ…おやすみ。」

　そう言うと優都は部屋を出ようとした。

「優都は何処で寝るの？」
「リビングだよ。」

　優都はリビングの方を指差して言った。
飛夏羽はそれに対して「ふぅん」と言う顔をしたので、優都は軽く笑った。

「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」

　今度こそ、優都は部屋を出て行った。

　飛夏羽はベッドに座ってから、辺りを見回した。

　綺麗に片付けられている机の上、本棚もきちんと整理されていて優都の部屋は
完璧であった。

　優都の部屋は居心地が良い。
だが、電気を消すと闇の中に溶け込んでしまいそうだった。

「や、やっぱ怖いよぉ…」

　飛夏羽は高鳴る胸を押さえながら急いでリビングへと走って行った。