僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
「…私が優都に近づかなければ…優都が苛められる事は無いんだよね?」
「飛夏羽ちゃんに免じて…良いんじゃない?」

 今話していたのは魔口 新だった。

「…ありがとう。」
「どういたしまして。」
 飛夏羽の手を取り、立ち上がらせたのは上田 和久だ。

「俺、遣る事ないじゃん。」
「俺も~。」

 最後に話したこの二人は、中山 涼と田中 克哉だ。
 この6人が、何時も優都を苛めているメンバーだった。

「あ~楽しかった。じゃあまた明日学校で。」

 翔太は伸びをして立ち上がり、歩いて行った。

「また遊ばせてね。」
「楽しかったよ~。」

 メンバーが口々に言う中、竜牙だけは何も言わずに飛夏羽を見つめていた。

 飛夏羽は竜牙から目を逸らした。

 竜牙も飛夏羽から目を逸らし、走って行った。

 全員が居なくなった後、飛夏羽の目からは、急に涙が溢れ出した。
拭っても拭っても涙は止まらず、溢れ続けた。

「…私のせいだったんだね…優都の…苛められた理由…」
「飛夏羽!?」

 飛夏羽は名前を呼ばれ、驚いて顔を上げた。

「…優都?」

 優都は息をきらしながら飛夏羽の前に急いでしゃがんだ。

「如何したんだよ!?」
「な、何でも無いよ…」

 飛夏羽は咄嗟に優都から目を逸らした。
逸らした瞬間、飛夏羽の目から大粒の涙が零れ落ちた。

「何でも無い訳ないだろ!?」
「本当に何でも無いんだってば!…ごめん!」

 飛夏羽はその場から逃げ去った。

 優都は拳を強く握り締めて、目だけで飛夏羽を追っていた。
きっと飛夏羽の事を守れなくて、悔やんでいたのだろう。

 優都は飛夏羽の鞄を持ち、自分の家へと帰って行った。

 飛夏羽は自分の部屋に入ると、そのままベッドに倒れ込んだ。

「…私の…馬鹿…優都…ごめんね…ごめんね…」

 飛夏羽の頬に涙が伝い、後からベッドに染み込んで行った。
飛夏羽の涙は止まる事が無く、しばらく流れ続けた。

 丸で、街に降る雨の様だった。

 誰かの目から涙が零れ落ちるとき、他の誰かの目にも涙が零れ落ちる。
だからこの街には、何時も雨が降っているのだろう。

 飛夏羽は泣き疲れ、そのまま眠りについてしまった。
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