好きの気持ち【短編】
「彼女?」
単純にそう聞いた。
無愛想にならないように必死に笑顔を貼り付けながら。
涼はそんな私の質問にチラリと彼女と目を合わせてから優しい笑顔で「ああ」っと答えた。
ズキッ
「そっかー。よかったじゃん。幸せで」
「まあな。お前は彼氏いないわけ?」
「いませんよー。だからあんまり見せつけないでよね」
昔のように精一杯強気で強がる。
彼女も涼も笑ってくれて、私も笑顔を返す。
「涼くん。そろそろ……」
「ん?ああそうだな」
彼女が涼の手をチョンッと引っ張った。
それが合図のように片手を挙げる。
「じゃあ雫。俺らそろそろ行くわ」