好きの気持ち【短編】
こんどこそ、背中を向けてもう振り返らない。
どんどん足を前へ前へと進める。
最後に見た涼の笑顔が不意に脳裏に浮かんだ。
「うっ……」
瞼が熱くなる。
ここで涙がでるなんて。
懐かしくて懐かしくて……。
もう戻れないって実感する。
悲しいけど、『幸せに』そう言って貰えただけよしとしよう。
絶対、私も幸せになるんだから。
今日涼に会えたことに後悔はない。
むしろ感謝してる。
この涙でやっと前に進めそうだから。
まだあなたを思い出しても今度は前にだけ足を進める。
もう立ち止まらない。
涙は止まらなかったけど私は足を止めず家に向かって歩き続けた。
2010,1,30 完
