プラチナの誘惑
「は?」

「日曜。用事あるって俯いただろ?」

心なしか近づいてきた昴の顔に驚いて、慌てて体を離せば、ニヤリと上がる昴の口角。

「デートじゃないから。
昴みたいにもてないし。
もててたら…こんなに悩まない…。
あ…。
なんでもないし。

じゃ、土曜でいいから」

あたふたと話す怪しい私。

おかしそうに見ているだろう昴から視線をそらす。

なんだか恥ずかしい…。席を立とうと、カレーが置かれているトレイを持って

「じゃ、そろそろ戻るから」

と早口で言ったと同時に

「彩香の見合い相手、私に回して」

と隣から聞こえてきた切羽詰まった声。

左を見ると、荒い息をして立っている…

「日和…あんたどうしたの?」

< 11 / 333 >

この作品をシェア

pagetop