プラチナの誘惑
仕事に対しての熱意はかなり強くて、小柄で華奢な見た目と反対に、いつも強く潔く生きている。

「…結婚は考えられない。仕事に自分の時間も力も全て注ぎ込むって言ってるのに…。

突然どうしたの?」

くっきりと大きな瞳を潤ませる日和。
人形のような顔に、いつもながらみとれそうになる。

向かいに座ったままの昴に視線を移すと、普段は見ない険しい顔で私を見ている…。

え…?なんで?
いつも本音の見えない穏やかな笑顔で自分自身を隠してるのに。
それに、日和のこの状態の中でどうして私を睨んでるのかわからない。

「…あの課長…っ」

「え?」

見ると、両手を握りしめてふるふる震えている日和。
何かを思い詰めながらつぶやいている。

「何が

『結婚しなきゃできない設計もある』

なのよ…。

そんなに独身がハンディならとっとと結婚してやるっ」
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