プラチナの誘惑



結局、昼休みが終わるぎりぎりまで日和の話を聞いて、

「…今週のお見合いを日和に譲るなんて先方に失礼だから無理だけど。

母さんに、日和の相手に心当たりないか聞いてみるから」

と、なんとか落ち着かせて仕事に戻らせた。

日和をよく知る母さんなら、きっと日和に合いそうな相手を知っているはず。

『…結婚できるなら誰でもいい気分…』

思わず日和の口から出た
言葉が、よっぽど追い詰められている日和の気持ちを表している様で。

心配だし、切ない。

簡単にそれができるなら、日曜の私のお見合いを代わってもらいたいくらいなのにな…。

「日曜の用事って見合いだったんだな」

…。

ぼんやりとエレベーターを待っていると、隣に立つ昴がつぶやいた。

見上げると、気持ちの読めない瞳がじっと私をとらえてる。

< 14 / 333 >

この作品をシェア

pagetop