プラチナの誘惑
結局、昼休みが終わるぎりぎりまで日和の話を聞いて、
「…今週のお見合いを日和に譲るなんて先方に失礼だから無理だけど。
母さんに、日和の相手に心当たりないか聞いてみるから」
と、なんとか落ち着かせて仕事に戻らせた。
日和をよく知る母さんなら、きっと日和に合いそうな相手を知っているはず。
『…結婚できるなら誰でもいい気分…』
思わず日和の口から出た
言葉が、よっぽど追い詰められている日和の気持ちを表している様で。
心配だし、切ない。
簡単にそれができるなら、日曜の私のお見合いを代わってもらいたいくらいなのにな…。
「日曜の用事って見合いだったんだな」
…。
ぼんやりとエレベーターを待っていると、隣に立つ昴がつぶやいた。
見上げると、気持ちの読めない瞳がじっと私をとらえてる。