プラチナの誘惑
突然の昴の言葉に、シャッターの音なんか消えて
自分の心臓の音しか聞こえない。

慌てる私を予想してたのか、ふふんと落ち着いた笑顔を浮かべた昴は

「…したくないの?」

「はぁ?」

「俺は、もっとしたいんだけど…」

「…」

ありえない。

真顔でそう言われても。
どうしてこのタイミングでそんな事。
キスなんて…。

やっぱり昴には

『したいからする』

って程度でかたづけられる慣れたものなのかな。

じゃなきゃ…。

「どうせ誰でもいいんでしょ。
他の女の子をあたってキスしてよ」

一語一語はっきり言った…。

途端、昴はお腹を抱えて笑いだし…。

シャッターの音も聞こえなくなった。

はっと気づいて周りを見ると、私の言葉に驚いたとしか思えない視線が向けられていた…。

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