プラチナの誘惑
同期だという事で、昴と並んで写真を撮られた。
普段ならカメラマンの横で撮影を見守っている私が被写体となる非現実的な時間が、かなり長く感じられる。
隣には昴がのんびりとカメラに視線を向けながら
笑っていて、自分との違和感を感じてしまう。
これまで、自分を前に出して生きてこなかった私が、急にカメラに向かって笑うなんて無茶苦茶で。
少しずつ距離を縮めてくる昴への戸惑いもあるし…。
笑ってない笑顔で立ち尽くすしかできない。
きっと、部長にも叱られて…入社案内にも載せられるなんてないだろうなあ…。
カシャッカシャッとシャッターの音が少しずつ心地好く感じられるようになった頃、そっと昴が耳打ちしてきた。
「並んで笑うだけじゃつまんないから…
さっきのエレベーターでしたみたいにキスでもしとく?」
「…っ…何を…するわけ
ないでしょ」