プラチナの誘惑
おいしい料理においしいお酒。
隣には見映え抜群の男。
昴と飲みながら、少しずつ話す事といえば仕事の事…。
女に対しての噂は芳しくない昴だけど、仕事の評価は抜群で、いずれは
『設計デザインコンクール』
で大賞をとるだろうと言われている。
そんな昴の努力も知っているから、最後のところでは信頼している。
「…で、何でおちこんでるわけ?」
「え…」
ぼんやりと料理を食べながら、日本酒をちんまりと飲んでいた私の顔を覗き込みながら…昴が声を落とす。
「別に…落ち込んでないよ」
慌てて笑ってみせるけれど、怪訝そうな昴は、尚も私を見つめたままで。
鼓動の速さだけが私の耳に聞こえてくる。
「望さんだっけ…?
姉さんの話が出ると…
悲しそうな顔をするのは、俺の気のせいじゃないよな」
「…気のせいだよ」