プラチナの誘惑
「そろそろ解放してあげなさい。
彩香ちゃん慣れてないんだからね。
それに、宣伝部に在籍したままなんだから。
嫌われたら逃げちゃうよ」

「…逢坂さん」

私の隣にいる逢坂さん。
私より3歳上の女性の営業担当。
結婚しているけれど、営業成績は抜群で、社内でも結構名前を知られているパワフルな女性。

私を気にかけてくれて、
ヒートアップするメンバーを一撃している。

「みんな調子にのっちゃってごめんなさいね。
彩香ちゃんがうちにくるって決まってからずっとテンション高くて…」

肩をすくめながら、手元にあったビールを飲み干す姿は格好良くて見とれてしまう。

「彩香ちゃんのデザインの力を欲しがる部署は多いから、なかなか倍率高くて。
うちに来てくれるって聞いた時はまるで宝くじに大当りしたみたいにみんなで喜んだのよ」

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