プラチナの誘惑
急いでお店を出た所で電話に出た。
昴からの電話に少し緊張しながら。

「もしもし、ごめんね。
明日の事でしょ?」

『今どこ?』

待たせて申し訳なかったな…。
って思いつつ早口で話す私を叱るみたいな低い声 が返ってきて、思わず
動揺してしまう…。

「昴…?」

『こんな遅くにどこに
いてるんだ?』

「は…?えっと…営業部の人達と飲んでて…」

『営業部に移るから?』

…なんで知ってるんだろ…。
私も今週言われたばかりなのに…。
それにどうして昴の機嫌が悪いのかよくわからなくて困ってしまう。
いつも誰にでも軽く明るく付き合っている昴が怒ったりする顔も見た事ないから…。

「うん…。来月からしばらく営業部に行くから。

情報回るの早いね」

『どこで飲んでるんだ?』

「…会社の近くの『おりがみ』だけど…」

『迎えに行く』

「…は?」

『今家だから。車で行くしじっとしてろよ』

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