プラチナの誘惑



「え…?」

真夜中に高級マンションに連れて来られて、それだけでも申し訳なくて
ドキドキしているのに。

最上階の部屋に通された途端に現れた姿に言葉を失ってしまった。

「こんばんは」

にっこり笑いかけられても現実のものとは思えない。隣の昴を見上げると
肩をすくめて笑いをこらえている。

「逢坂 柊…。なんで…?
え?逢坂って…」

「旦那さんだよ。詩乃先輩にはもったいないくらいの男前だろ?」

ばしっと背中を殴る逢坂さんから逃げながらも、私の表情を見ながら笑ってる昴は尚も続けて

「超がつく大恋愛だったし。
詩乃先輩が女だって忘れてしまいそうになったら大学時代のドタバタを
思いだす…いてっ」

「女だって忘れるってどういう事よ。
女の子なら誰にでも優しく愛想笑いする昴のくせに」
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