ラブリーホーム*先生の青③






私の隣で
クウクウ寝息をたてる先生を
じっと見つめた




隣の子供サイズの
布団で眠る青波と見比べる



二人とも左側を向いて
同じ格好で寝てるから
「くくく」と笑ってしまう




……8つも年上だけど
子供っぽいんだよな、この人




指先で先生の髪をすいて
その寝顔に愛しさを感じると
もうムカついて


ギュッと鼻をつまんでやる



「………ふがっ」



鼻を鳴らし
眉をしかめて
私の手を払うように
先生は顔を振った



起きたかな?
そう思ったけど
すぐ また寝息が響く



フフンと笑いながら
また先生の髪をすくと
モヤモヤの
一番の理由がわかった



……どうしようもない



……これは もう
どうしようもない



あの夜
三島の家からの帰り道
車を運転する先生を想像した



お義兄さんとの仲の悪さは
私だって知ってる


会社を手伝わないことや
そのクセ
ここを無料で借りてること
さっさと教師なんて辞めろ
くらいのことを
くどくど言われたんでしょう



イヤミをたっぷり言われて
弟を預かることになって
重たい気分で
車を走らせる先生が



カナさんに会いたいと
思ったこと




会ったことじゃない
話したことじゃない



先生の心に彼女が浮かんだこと



それが一番悲しかったのだ





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