先生のビー玉
「あ、田村先生」

「…佳奈…」

びっしょりと濡れ、こめかみから血がにじみ、意識をなくしているその生徒は、紛れもなく佳奈だ。

「救急車…呼びます」

「お願いします」

警備員は慌てて階段を降りる。

「佳奈っ、佳奈っ」

貴子が泣きじゃくって佳奈を呼ぶ。

「佳奈っ」

田村、佳奈をギュッと抱きしめる。

「絵里…許せないっ」

壁を殴りつける貴子。

「とりあえず…降りよう」

冷静な田村に腹が立った貴子は、キッと彼を見た…が…
今まで見たこともないその表情に怖さを感じてしまった。
黙って頷き、事務室前のソファに佳奈を寝かせる。

「神田、すまんが職員室へ行って俺の私物を持ってきてくれないか?」

「わかった」

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