先生のビー玉
「じゃ、私は神田を家に送り届けてから病院に向かいます」

池田がそう言うと、

「私も行くのっ」

神田が叫ぶ。

「お前は帰れ。
ご両親が心配するから」

池田が言うが、泣きじゃくるだけだ。

「神田、しっかりしろっ!」

田村が怒鳴る。
すると…

「佳奈を頼んだから…」

とか細い声で言う貴子。

「当たり前だ」

フッと笑い、

「病院がわかり次第連絡します」

田村が言うと、池田が頷き救急車は学校を出て行った。

「ありがとうございました」

池田が警備員に深々と頭を下げる。

「助かるといいのですが…」

警備員、心配そうに呟く。

微妙な空気が流れていた。
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