破れぬ誓い



「私はあまり戦いを好まない。どうだ?斬られる前にしまったらどうだ?」

「うるせーっつってんだろ!」


男は刀をしまう気など毛頭無いようだ。

斉藤さんは悲しげにため息をつく。


「仕方あるまい。恨むなよ。」


そう言った斉藤さんの目は鋭くなった。

土方さんと同じくらいの鋭い眼差しはじっと男を見ている。



「てぁぃっ!」


斉藤さんの声が聞こえた瞬間。

男は悲鳴を上げて倒れていた。


「南無阿弥陀仏。」


斉藤さんはそう呟いて斬られた男に背を向けた。


アタシは急いで女の人の所に駆け寄った。

女の人は何度も礼を言ってそこから逃げるように立ち去った。



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