虹の世界
待ち合わせした本屋の前にある小さなうどん屋を指差した。


「俺は良いけど……本当に良いの?美羽、焼き肉食いたいんじゃねぇの?焼き肉でも良いんだよ?」


「ううん。あそこが良いの。カレーうどん、めっちゃ美味しいんだよ?」


「行ったことあんの?」


「うん。随分前だけど。」


元彼とでもきたのだろうか。ちょっとだけ、寂しい瞳をした。


「よし。カレーうどん、行きますか?」


「うん。」


寂しい瞳を直ぐに笑顔にし、俺を見上げた。











美味しそうにカレーうどんを食べた。

だから、寂しい瞳を忘れた。


「あつ……。」


「汗、凄いよ?」


「美羽だって凄いじゃん?」


そんなたわいのないやりとりが、俺にはとても大切だったんだ。
< 20 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop