虹の世界
「瞭くん、忙しそうだね。」


「ん?」


汗をTシャツの袖で拭いながら、彼女をみた。


「眠そう。疲れてる?」


「そう?全然だけど?」


「………そう?なら良いけど。」


図星だった。

秋のコンサートツアーに向け、準備も大詰めに入ってきた。

今日みたいに夕方から空くなんて珍しかった。


「朝じゃないからかなぁ。朝の方が男前?」


「え?…………ばぁか。」


真っ赤になって笑ってる。

可愛いなぁ、なんて思いながら、男前な顔をして見せた。


「帰るよ?」


「帰さないよ?」


「……ばぁか。」


これ以上ないくらいに赤い顔。

デートの約束をした朝から、一ヶ月後の今日。

やっととれた時間。



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