虹の世界
「今度は私がご馳走します。何が良い?」


「美羽の手料理。」


「え?」


「なんて言ったらどうする?」


「………美味しくないよ?」


真剣に返事を返してくる。

今日みたいに、映画に行くなんて、この仕事を始めてから数えるほど。

俺だとばれると映画どころじゃなくなる。

外に出たいのはやまやまだが、なかば諦めていた。

だから、何の迷いもなく出掛けた自分が不思議だった。

しかも、見付からずに終了。

寝てしまったけれど、でも、楽しかった。


「俺さ、寝ちゃったくせに勝手かもしんないけど、すっげぇ楽しかった。」


彼女を見下ろすと、笑顔で頷いた。




< 25 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop