虹の世界
「いい加減にし………………」


振り向いて、睨む俺の目に飛込んできたのは、ぐしゃぐしゃに濡れた、真っ赤な瞳。

頬を伝う涙の筋が、筋ではなくなっている。

ぐっと下唇を噛み締め、肩にかけたバッグを持つ手がぎゅっと握られ、震えている。


「………み……わ?」


止まらない涙を、手の甲で必死に拭い…………











そして………











笑った。










こんなに哀しい笑顔を、俺は、初めて見た。










また、俺は、言葉を見付けられないまま、笑う彼女を見つめていた。










真っ赤な瞳から、涙が…………はらはらと溢れ落ちていった。




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