虹の世界
「………ごめ……。さよなら。」


必死に笑って告げた、さよなら。


さよならを言うほどの関係じゃないけれど。

自分の中で膨れ上がった気持ちに決着をつけるには、やっぱり言わなくちゃならない。

流れる涙はやっぱり止まらなかったけれど、それでも、笑った。

胸の奥がぎゅっと締め付けられたまま、震える手で涙を拭う。

拭っても拭っても溢れてくる涙。

困った表情で私を見下ろす彼。

足早に、彼の横を通り抜けた。

この先を曲がれば、アパートはすぐ。


「美羽っ!」


右腕をぎゅっと引かれ、反射的にその腕を振り払った。


「あ………ごめん。」


違う。

謝るのは私の方。


「美羽………話し、しよ?」



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