虹の世界
彼の瞳が、私をしっかりとらえて離さない。

その瞳が、私と同じ様に不安で揺れていた。

だから…………

だから、引っ込めた腕をゆっくりと伸ばした。

伸ばした指先が、ぎゅっと握られた彼の拳に触れようとした瞬間、その拳は、私を引き寄せ、背中を抱いた。










ぎゅっと抱き締められ、胸が震えた。










「美羽…………好きなんだ。どこにも行かないで。」









耳元で囁かれた言葉。

あぁ………

そうなんだ。

私は、彼が、好きなんだ。

彼が、どこかに行ってしまいそうで………。

知らない彼を見たくなくて………。

だから、恐かったんだ。

だから、逃げようとしてたんだ。




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