虹の世界
「大好きだよ。どこにも行かない。」


彼の胸に顔を埋めながら、小さく呟いた。

私を抱き締める腕に力がこもる。

たったこれだけの瞬間で、全てが解決した気がした。

そっと顔をあげると、涙をいっぱいにためた瞳が私を見つめた。


「泣かないで………。」


頬にそっと手を添えた。

その手を握り、笑った。


「美羽だって泣いてる。」


静かに瞼にくちづけられ、また、涙が溢れた。

ゆっくりと涙を伝う唇。

そっと重なった唇。

涙の味のくちづけ。

二人の想いは、もう、伝わった。

そんな気がした。










暗くなった空に、ぽっかりと浮かんだ綺麗な三日月。

優しい光が二人を包んでいた。



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