虹の世界
「おはよ。」


「おはよう。」


二人の朝は、公園から始まる。

あの日、俺は、彼女の泣き顔や、さよならと言った時の哀しい笑顔、全てを愛しいと思った。

離しちゃいけない。

そう思ったんだ。

胸の中に抱き締めながら呟いた告白。

返ってきた彼女からの告白。

その瞬間だけが全てだった。

あとは何もいらない。

唇を離した後、手を繋いで公園まで歩きながら決心していた。

彼女の側から離れない。と。

この手を離してしまえば、きっと彼女は迷ってしまう。

そうならないため、この手を離すわけにはいかない。

もう二度と、哀しい笑顔をみたくないから。

だから、ずっと側に居よう。

そう決めた。


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