虹の世界
名前も住所も、ましてや携帯もなんにも知らないまま、朝の散歩は時間切れ。


ジーンズのポケットで携帯が震えた。


「誰だ?こんな朝から………中……はぁ……はい。瞭です。」


マネージャーから、仕事の時間変更の電話。
散歩してる場合じゃなくなった。


「仕事、呼び出し食らっちゃった。」


立ち上がり、見下ろした女の子は、優しい瞳で俺を見上げた。


「また、逢えるかな?」


「晴れてれば。」


「じゃあね。」


軽く右手を上げた俺。


ちょこんと頭を下げた女の子。




俺たちの出逢いは、青い空の下、静かに始まった。



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