おにぎり丼。
久々に来た1号店の従業員用休憩室は、少し荒れているように感じた。

閉店後だったせいもあるのかもしれないが、店内も殺伐としているように感じた。

1号店は、最近新しくアルバイトを何人も雇った。

いなくなったメンバーの補充だ。

早番は相変わらず老人がまわしているが、それ以外で残ったのは、村松さんだけだった。


2号店の社員だと言うと、閉店作業中の新人アルバイト君は、私を快く中にいれてくれた。


ちょうど、つり銭のトラブルがあったとかで、村松さんは、レジと格闘中だった。


「ほんとにごめん。上でちょっと待ってて」


村松さんにそう言われて、私は一人で休憩室に来たのだった。


村松さんは、苦戦しているようで、なかなか来なくて、私は暇つぶしで、ロッカーのネームプレートを眺めていた。


二郎とヨッチーのネームプレートは、もう外されて、新しく入ったアルバイトが使っているようだが、エリコのものはまだ残っていた。

よく、エリコのロッカーからストッキングを抜き出して、ヨッチーのロッカーに入れたっけ。

そんなことを考えていたら、懐かしくなって、思わず私は、エリコのロッカーを開けてみた。

3ケタの数字を合わせると開くタイプの南京錠がかかっているが、そんなのはお手のものだ。

3・4・3

さしみ。

刺身と語呂合わせで覚えている。


当然のように鍵は開いた。
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