おにぎり丼。

■一つの終焉

「ヨッチーが死んだ!?」

「そうだ。自殺らしい」

「自殺!?」

「自宅のマンションの屋上から飛び降りたらしい」

「……どうして、そんな……」

「どうしてって……ナァ?」

「わ……私のせい?」

「そうなんじゃないか?」

私は黙って電話を切った。






‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


次の日、店に行くと、エリコがバイトをやめていた。


休憩室では、村松さんが一人でタバコを吸いながら座っていた。

「おはようございます」

私が挨拶すると、村松さんは、

「ああ」

と小さな声で答えた。

「エリコやめちゃったんですね」

「あ。店長に聞いた?」

村松さんは、小さな声でぼそぼそと言った。

さすがの村松さんも、今回のことは、そうとうこたえているみたいだ。


「エリコ、今日は普通に来たんだよ」

「そうなんですか」

「店に来て、ヨッチーが自殺したことを聞いて、すっかりやられちゃったみたいで」

「そうですか」

「ほら。昨日あんなことあった後だからさ。ショック大きかったみたいで」


今日の村松さんは、いつになく冗舌だった。

二郎が事故死し、ヨッチーが自殺。

ヨッチーの妻である由美子さんは、しばらく仕事を休むことになりそうだし、エリコも辞めてしまった。

村松さんの喪失感は相当のものだろう。


「これから、1号店はどうなっちゃうんですか?」

「とりあえず、しばらくはバイト募集をしながら、早番の爺さんたちに手伝ってもらうよ」

「大変ですね」

「まあな」

村松さんはそう言うと、不味そうにタバコを吸った。
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