くちづけのその後で
“幸せ”……


今の自分(アタシ)には、この言葉が一番相応しいと思う。


むしろ、幸せ過ぎて恐いくらい。


だって…


大切な人達は、いつもあたしの傍からいなくなってしまうから…。


ねぇ、颯斗……


颯斗は、あたしを置いて行かへんよね……?


あたしは少しだけ不安に思いながら、右耳のピアスにそっと触れた。


指先が素肌に触れると、昨夜颯斗がくれた甘い微熱を思い出して…


さっき別れたばかりの彼の事が、無性に恋しくなっていた。


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