くちづけのその後で
早く忘れたい……


あたしは心底そう思っているのに、周りがそうさせてはくれない。


颯斗からはあたしの仕事が終わる時間に合わせて、毎日必ず電話が掛かって来る。


もちろん、あたしがそれに応じる事は無いけど…


せっかく消した颯斗の番号が携帯に表示される度に、涙を流していた。


バイト帰りの時間帯に、彼が家に来る事もあった。


そんな時は、狭い部屋の中に鳴り響くインターホンの音で海斗が起きないかヒヤヒヤしながら、颯斗が帰ってくれるのをじっと待っていた。


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