大嫌いでも、大好きだから。

彼は立ち上がり、私の隣に座った。

反射的に避けようと思ったけれど、
彼の笑顔に囚われて、動けなくなる。



「俺は鳳松葉(おおとり まつば)。君は1組の宮瀬さんだよね?」

「はい、そうです」


鳳松葉。
名前を聞いたことはないけれど、何故彼は私のことを知っているのだろう。


私は泣いていた事を思い出して、
慌てて自分の涙を拭った。


そんな私を見て、鳳君は切なそうに微笑む。


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