82歳、ベッドの上で

□変わっていく




電話が来てから4ヶ月


その間に何度かママから
おばあちゃんの状況を
聞いていた



元気がなくなっている
時間ができたらでいいから
会いに来てあげて…と



土日でも行こうと思えば
手段はあった


だけど私は行けなかった


単位認定の時期と
重なっていたから…




やっと時間が出来た私は
夜行バスで家へと戻った



おばあちゃんは
まだ入院していた


長い時間を病院の
ベッドで過ごしたことで

筋力も体力も落ちた
おばあちゃん


そのため体調が悪く
入院が長引いていた



寝ていることが多く
ママの呼びかけにも
反応が減ったらしい





ベッドサイドから
痩せて小さくなった
おばあちゃんに声を掛ける


『おばあちゃん、私だよ』



そっと目を開いた
おばあちゃん


しかしその目は
私をとらえていなかった



どこを見ているのか
分からないその瞳



私は何度も
おばあちゃんを呼ぶ


『おばあちゃん!!

おばあちゃん!!


おばあちゃん!!』



その声は
届いているはずなのに



おばあちゃんはまた
そっと目を閉じてしまった



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