野獣狂想曲
玲奈が部活に行ってしまい、私は一人教室の窓から外の様子を眺めていた。
待ち焦がれていた放課後が今は億劫にしか感じられない。
持て余す時間が、嫌で嫌で堪らなかった。






――私は天狗になっていたんだ。

周りから天才だともてはやされていい気になっていた。

だから神様は、私に罰を与えた――






あれ?
ピアノ?

吹奏楽部の音に交じってピアノの音が聞こえてくる。

一体誰が弾いているんだろう。

ピアノの音だけを拾っていると、徐々にはっきりしてくる。



聞き間違いかもしれない。
でも
この曲は……!



気が付くと私は走っていた。
そのピアノの音に誘われるように。





辿り着いたのは音楽室。
教室で聞いていた時よりも鮮明に聞き取れる。


間違いない。
この旋律は





私が練習していた曲…。



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