神様の悪戯
ダメだ。
抑えろ私。
相手は非常勤とはいえ“先生”なんだ。
失礼な事は言えない。
「なんか言いたい事あんなら言え?」
壇上から、声が降ってくる。
続きを促すその顔はさっきとはちょっとだけ違った。
口角を上げて、ひどく意地悪な顔をしてた。
『言えるもんなら言ってみろ』
無言の圧力に言葉を噤む。
「…いえ、なんでもないです。忘れ物を取りに来たので、すいませんでした」
目的を忘れちゃいけない。
ケンカをしにきたワケじゃないんだから。
もし、時計がまだ元の場所にあれば彼が気付いててもおかしくない。
案の定、彼は時計を持ってた。
安心して、肩の力が抜ける。
頬が緩んでしまうのをさっと引き締めた。
「ありがとうございます。それ…」
礼を言いながら差し出した手がさ迷う。
だって、
「ガキが高そうな時計なんか付けてくんな。お前、名前は?」
なんて言うんだもん。
.