神様の悪戯
今度は我慢出来なかった。
「先生だかなんだか知らないですが、余計なお世話です。私は3―7、名前は星野華恋です。…質問には答えました。早く返して下さいっ」
もう一度手を差し出す。
すると、彼の手から時計が離れる。
放たれたって方が正しい。
綺麗な弧を描いて、私の手の中に確かな重みが返ってきた。
投げる事もないとは思って、口を開きかけたけど止めた。
変わりに、「ありがとうございました」それだけ言って私は踵を返した。
時計さえ戻ってくれば、後はなんでも良かった。
ケンカをしてるよりも早く家に帰らなきゃ。
朝干してきた洗濯物が気になって仕方ない。
「随分嬉しそうな顔してるけど、大事なもんだったのかよ?」
後ろから掛けられた言葉に振り向かずに答えて、私はその場から離れた。
「先生には関係ありません。拾ってくれた事は感謝してますけど…失礼します」
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