神様の悪戯



自分目線の俺様発言。



それでも、有り余る程の思いやりを感じた。


今の私には充分すぎるくらいだった。



「…ふぇ…、ヒクッ…ぅっん…」



ぎゅっと藍紫兄さんのシャツを握りしめ、
声を殺して私は泣き続けた。



後頭部に添えられた手はゆっくりと力が抜けて、今度は温かい腕に包まれた。



まるで、全てのものから私を守るような仕草だった。












あの日、大好きな母が亡くなってからこうして人前で泣いたのは初めてだった。


いつも強くありたかった。


誰にも頼らず、自分で自分を守れる強さが欲しかった。


そんなもの簡単には手に入らないのに…。



藍紫兄さん、

泣いたりしてごめん。


すぐに泣きやむから、


もう少しだけ、このままで…






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