ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
敬悟も、茜の視線の先の空を見上げて、目を細めた。
玄鬼は、京都の一件以来、『年寄りをこき使いおって。ワシは疲れたから、しばらくは何もせんからな』
そう言って眠り猫を決め込んでしまい、今も茜の膝の上で丸くなっている。
根性でバイク追跡を続行中の橘信司にも、さすがに疲れの色が見え始めていた。
「ねぇ、橘君。一度家に帰ったらどうかな? 学校だって、いつまでも病欠のままって訳にもいかないし……ほら、真希のことも気になるし」
隣で、スイカにも手を付けずにぼんやりしている信司の顔を、茜は心配げに覗き込んだ。
「……」
信司は、茜にチラリと視線を向けるとすぐに、無言で足下に視線を落とす。
確かに、鬼志茂でも鬼が淵でも茜や敬悟のように直接事に関わっていない分、信司にとってはただのツーリング旅行になっているのが現状だ。
茜以上の焦りと、何も出来ない自分への苛立ちを、信司は抱えていた。
「もしも、何か『鬼隠れの里』の情報が分かったら、必ず連絡するから。だから……ね?」
「う……ん」