ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
信司自身も、正直そう思わないでもない。
学校の事はさほど気に掛けてはいないが、入院中の真希の事は気がかりだった。
これ以上我を張っても、足手まといになるだけで何の足しにもならないだろう。
引くべき時は引く。
その方が、いいのかもしれない――。
――それでいいよな? 真希。
『そう言うことは、自分で決めなよ信ちゃん。男でしょ!』
信司の脳裏に、この場に居れば、腰に手を当てきっぱり言い放つだろう、ちょっと気が強い恋人の姿が過ぎる。
ふう。
一つ大きく息を吐くと、信司は力の無い笑みを浮かべた。
「……神津の言う通り、一度帰ることにするよ。でも、何か分かったら必ず連絡してくれよな? 俺に出来ることなら、何でもするから」
「うん。もちろんだよ!」
もしも信司に何かあったら、真希に顔向けできなくなってしまう。
エゴかもしれないが、出来るなら近しい人間を巻き込みたくはない。
良かった――。
茜は、ほっと胸を撫で下ろした。