ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
お母さん……。
茜はこの瞬間、自分は絶対泣くだろうと思っていた。
でも、やはりなぜか涙は出なかった。
なぜ、自分は泣けないのだろう?
学校で母の死を知らされた時も、病院で母の亡骸と対面したときも、そして今も……。
「この石は ”守りの石” なのよ。あなたを守ってくれているの。だから、外さないでいましょうね――」
遠い幼い日、聞いた母の言葉が胸に甦る。
茜は胸のペンダントを、ぎゅっと握りしめた。
