ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

くすくすと、上総の笑い声が広い洞窟内に響いた。


茜は、胸のペンダントを握りしめた。


それは、茜の心に反応するかのように、微かに振動しながら熱を帯びてくる。


――お母さんお願い。力を貸して!


「止めておきなさい。例えその石の力を使ったとしても、あなたでは私には勝てませんよ?」


嘲るような上総の声が、茜の癇に障った。


「そんなの、やってみないと分からないじゃない! あなたは、ハーフなんでしょ!? だったら、純血体の私の方が力があるって事じゃないの!?」


「……どんな生き物でも、”亜種”と言うものは、本来の種よりも強い個体になるものなのですよ? 学校で、習いませんでしたか?」


茜は、ぐっと唇を噛んだ。


それは、そうなのかも知れない。あの赤鬼に変化した上総と戦って、自分が勝てるとは茜自身も思えなかった。


「これは、私の提案です。あなたが私の言う通りにするのなら、その男は助けてあげましょう」


「えっ!?」


「今、その男は瀕死の状態です。普通の人間ならとうに失血死していてもおかしくはありません。保っているのは鬼部の血を引いているからです。が、それも時間の問題です。あなたが、”はい”と言いさえすれば、今すぐ傷を治してあげますよ」


茜は、以前上総が手に負った火傷を、マジックのように治した事を思い出した。


「前のように記憶を封印し『神津敬悟』として元の生活に戻してあげます。もちろん、あなたの記憶も封印しますがね」

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