ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「あれ? お父さんは? 書斎にいるの?」
一階のダイニング・キッチンに足を踏み入れた茜が、驚いて声を上げた。
食卓にいると思った父の姿が見えない。
父の衛も、今週いっぱいは忌引き休暇で家にいるはずなのだ。今日が木曜だから、あと四日間は休みの予定だった。
「ああ、何か大学の方で急用とかで出掛けたよ。少し遅くなるから、夕飯先に食べてろってさ」
嫌な予感に、茜は恐る恐る敬悟に質問を投げた。
「け、敬にぃは、まさか出掛けたりしないよね!?」
思わず、語尾がワントーン跳ね上がる。
今は、絶対一人になりたくなかった。
大体身内の、それも妻の葬儀の次の日に、行かなきゃならない仕事が有ることが茜には理解できない。
「あ、悪ぃ。俺もちょっと出掛ける。夕方には戻れるから、留守番よろしくな」
「ええっ!? じゃあ、夕方まで私一人なの!?」
すがるような茜の視線は、敬悟に『悪いな、大事な用なんだ』と笑顔と共に一蹴されてしまった。
最悪だ。
ただでさえ、一人でいられない性分なのに、昨日の今日で、一人になるのはごめん被りたかった。
どうしよう。
茜は、何かよい方法がないか、暗たんたる気持ちで考えを巡らせた。