空中ブランコ




「話は落ち着きました?」


 黙って成り行きを見守っていたシルディ




「うん。
メリー嬢、こんな初対面になっちゃったけど、僕はクジル。以後お見知りおきを」



 優しく微笑むクジル




「メリー嬢。そろそろ気配を消して頂かないと、バンパイアが集まってきますよ」


「そうだよ!
ここバンパイアのテリトリーだったんだ!」




 慌てて辺り一帯に振りまいた自分の気配を消す






 シルディが辺りに目をやるのと同時に、クジルが上を見上げる




「気付くのがちょっと遅かったみたいだね」





 建物の上からも、辺りを囲む様に現われた複数のバンパイア




「はぁー…。寒いのに予定ぶち壊しですよ」


「あの、・・・・・・すいません、申し訳ないっす…。」



 気まずそうにシルディに謝るメリー




「そぉ責めないで。
だいたい、シルディ君が気付かれないように魔力張っとけば良かったじゃん。中途半端にじゃなくて」



 首を横に振る




「あの溢れだした生気を貴方見ました?馴染んでるはずの主の皮膚、抉ってるんですよ。
隠せる程、元帥の力は甘くないですよ」




 チラりとメリーの手を見ると、手首まで焼けただれて皮膚が捲れていた




 それを着物の袖に隠してはいるが、痛いのと寒さでうまく隠せないでいる





「やっぱり元帥だったんだね。
僕達は相対的な力だから、隠すにはちょっと骨が折れるね」




 1、2、3と的(まと)を数えながら器用に口を動かすと、メリーが覗き込んできた





「・・・・・ねぇ今さらだけど、お兄さん達ってあたしと一緒にいて平気なの?」




 不安げ、と言おうか、困ったように訊く









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